「SD通信」Vol.4(2020.11.1)

カテゴリー: SD通信協会新着各部のTOPICS オン 2021年1月28日


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新制作協会/スペースデザイン部情報メールマガジン「SD通信」Vol.4(2020.11.1)

皆さんこんにちは。SD通信編集部です。
朝晩少し冷え込むようになりましたがあと数日すると暦の上では立冬です。
日々マスクをつけているせいか、活動範囲が抑えられているせいか、
今年は秋を感じる機会があまり持てないまま冬になってしまいそうです。
皆さんは如何お過ごしでしょうか。

さて、スペースデザイン部では今回も所属会員によるコラム『 私を創ってくれた3つの作品 』をお届けいたします。
記憶に残る作品、ターニングポイントとなる作品などを毎回作家ごとに3点選んでいただき色々コメントしていただいています。

制作への想い、こだわり、当時の思い出、作品の発想のきっかけや技法や素材のことなど、会員同士でもあまり知らなかったような貴重なコメントが毎回登場いたします。素材や技法、展示の方法が多岐にわたるスペースデザイン作品の魅力を更に感じていただけると思います。

4回目は伊藤哲郎さんの登場です。どうぞご覧ください。


「私を創ってくれた3つの作品」
スペースデザイン部会員 伊藤 哲郎

作品1.「DER SCHWARZE-SPANNENDE WALD」
1988年. 第52回新制作展出品(w.2400×d.600×h.600)

1980年の初出品から数年間は、普段の建築設計の延長線のように設計図面をもとに計画を進め、木材やエポキシ樹脂を使った作品を制作していました。今思えばかなり堅苦しい制作プロセスでした。そんな中、ちょっとした悪戯と発見から展開し出来上がったのがこの作品です。木炭粉を混入したエポキシ樹脂で、ストッキングの繊維構造が作る面白いフォルムを定着させました。様々な素材の実験や仕掛け・道具の検討、力とフォルムの呼応といった制作過程での収穫が、その後十数年間の作品の糧となりました。

作品2.「saner V」
2007年. 第71回新制作展出品(w.2400×d.750×h.1800)

今ではほとんど使われなくなったコンクリートの排水桝を利用した作品でシリーズの三作目です。土木建材屋の店先でこのコンクリート桝達に出会ってから、私のコンクリート作品が始まりました。全部で7種類のバリエーションがあったかと思います。2方、3方から来た排水が円形の桝の中で合流する、その合流点の機能一辺倒の無作為の造形が何とも愛らしく感じられました。既存の製品からモジュールを抽出・展開し、水の流れるフォルムをアレンジしながら擬人化した作品です。コンクリートも樹脂と同様に固まれば強固な素材ですが、硬化前は流体で形のない素材です。形を得るまでのプロセスも樹脂と似ています。。

作品3.「saner VIII」
2011年. 第75回新制作展出品(w.2400×d.750×h.600)

1は樹脂の軽さがフォルムを作る作品。これはコンクリートの重さがフォルムを作る作品です。ビニールの米袋にコンクリートを流し込み、台に腰掛けたり寝そべったりさせながら硬化させました。その重さでパンパンに張ったビニール袋のフォルムがコンクリートに移し込まれます。フォルムの実験には水を使うのですが、コンクリートの比重はその2.3倍ですので、ある程度は想定しながらも一発勝負の力業やアドリブが必要となり、それが又、予想外の効果を生むこともあります。樹脂とストッキング等を使った過去の作品とも類似していますが、制作者の行為がダイレクトに作品のフォルムに反映される感覚や、硬化した後は手も足も出せない、その潔さみたいなものに魅力を感じていました。

●伊藤 哲郎さん プロフィール

※息子の結婚式の時の写真です。

伊藤 哲郎(いとう てつろう)
1976年 東京造形大学ヴィジュアルデザイン専攻卒業
1979年 大学の恩師のアトリエ/設計室MORIに入室.12年後に独立
1987年~1999年. 日本デザイン専門学校非常勤講師
1991年  (株)ネクサス・プランニング/一級建築士事務所を東京都国立市に設立
1994年 東京都小平市に本社移転
2006年 静岡県浜松市に本社移転
2011年~2015年. 浜松市景観審議会委員
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1980年~新制作展出品. (1988,1990,1996年に新作家賞受賞)
1995年 長崎県住宅コンクール優秀賞受賞
2000年 天竜/木の家デザインコンクール優秀賞受賞
2002年 天竜/木の家デザインコンクール優秀賞受賞

新制作協会会員/一級建築士/静岡県文化財建造物監理士/静岡県建築士会まちづくり委員


SD通信Vol.4『 私を創ってくれた3つの作品 』
伊藤哲郎 編は如何だったでしょうか。
伊藤さんの作品はどのようなプロセスで作られるのかいつも気になります。
素材や型の工夫についてとても興味深い内容でした。
これからも遊び心ある造形作品が楽しみですね。

◎伊藤哲郎さんの情報はこちらにも掲載されています。
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次回Vol.5は 11/20頃 配信予定。
今村敬子さんの『 私を創ってくれた3つの作品 』をお届けします。

(新制作協会/スペースデザイン部情報メールマガジン「SD通信」)

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