第74回展(2010年) 委員長挨拶

カテゴリー: 第74回展の記録 オン 2010年11月28日
委員長挨拶 展覧会風景 新会員 受賞者紹介
chairman

 上野都美術館での70年に及ぶ活動を終え、六本木に移りすでに4年が経ちました。
街、風景、空間、来客、時代などの違いは明らかなことで、展覧会はそれらの要因と密接に係っているのです。
さらに云えばそれ等の要因が展覧会活動を育てるとも云えます。
 新制作を一つのエンターテイメントとして考えれば、上野で育った「会」は上野で終わり六本木では新たな「会」として新しい人々と共に行き始めるべきであった――新制作はその終焉の絶好の機会を逸したと思えてなりません。
 継続は展開を選んだ以上現実的、保守的活動を続けることになるのですが、新しい時代、空間、街の成り立ちの中に古い姿のまま侵入するわけですから、色々な不調和や違和感が生じるのは止むを得ません。
時間をかけて少しずつ修正しながら歩む事になるでしょう。
 幸なことに我々には優れた先人達の遺産があります。
遺産とは我々の心に残る先人達の生き様であり、遺された作品へのあこがれです。
作品が制作された時代の状況、未来に対する不安や絶望に正面から対峙し、乗り越えた先人達の勇気を知り、我々の制作に生かすこと――それこそが団体展を続ける大きな意味の一つです。
 これからは団体展の在り方を真剣に考える時期であることを痛感します。
 年に一度の会期に作品を展示することで一定の評価と注目を集めて来た成功体験にいつまでも寄りかかることはできません。
 「会としての活動」を外部に展開する努力が求められていると思うのです。

第74回展 委員長  橋本 裕臣

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